脱酸素剤封入包装は、多くの加工食品に幅広く使われています。また、食品以外の適用例もあります。主要な使用例について以下記載します。最初に、生・半生菓子類では、水分を多く含むため最も脱酸素剤の効果を発揮させることができる菓子類であり、多くの適用例があります。カステラ、最中、和菓子類、餅菓子、ドラ焼きなどでは、カビ発生を防止することが可能で、1ヵ月保存後でも品質保持効果が認められています。しかし、うぐいす餅や桜餅など水分活性が大きく異なる材料の複合系では、保存中に材料間の水分移動によって部分的に水分活性の上昇が起こり、酵母による膨れや細菌による腐敗が起こる場合もあるため注意が必要です。次に、畜産品ですが、豚の挽肉を普通の含気包装と脱酸素剤封入包装したものについて0℃貯蔵した場合の微生物相の変化の比較によると、脱酸素剤封入包装では、生菌数、低温細菌、タンパク分解菌および脂肪分解菌とも誘導期の延長が認められ、増殖期においても効果が認められています。しかし、品質保持期間の延長は1週間程度であり、生鮮肉への脱酸素剤封入包装の適用はあまり行われていません。サラミ、干肉、ソーセージ、ハムなどの加工製品ではカビ発生の抑制などに効果があり、適用例は多くあります。チーズや粉ミルクなどの乳製品などへの適用例が散見されます。