包装用プラスチック製の袋の開口性というのは、簡単にいえば袋の開けやすさがどうなのかということです。包装する人にとって、いろいろやっているところに袋が開けにくいというのはイライラするもの。時間のロスでもあります。能率も上がりません。包装紙や包装用プラスチック・シートどうしの摩擦が、広い圧力範囲にわたって十分に指先とシートの間の摩擦より低いことが技術上の必要な条件となります。包装袋の開口性の良い材質の開発をするのも、この条件を満たすことが大変苦労だったそうです。プラスチック袋の開口性の良い袋と良くない袋との摩擦を比較した結果、開口性の悪い材料では、0.75キログラム以下に加重を保持しなければ、プラスチック袋同士滑ってしまいます。開口性の良い材料は1.5キログラムの加重でも、指先とプラスチックの間の摩擦力が大きくて、袋は指に従って取り出させるというわけです。要するに開口性の良い材質というのは、広い加重範囲でプラスチックシート同士の摩擦が指先とプラスチックの摩擦よりも十分に小さいということがわかります。これは、袋を一枚指で開口するというだけの話ではなくて、プラスチックの袋の取り出しやすさというのにも応用できる話とのこと。包装というものにとても関係してくることともいえます。こういったことを図解で紹介しているのが、摩擦の話という本です。著者は、摩擦の原理や減少に少しでも興味を持ってくれたら、あとは自分で勉強するのではないかという願いもあるとか。この本を摩擦の総合解説書と呼ぶ人もいます。プラスチック包装というのは、とても身近なものです。摩擦のことを少し考えながら、パッケージを開けるのも面白いかも知れません。