アルミ蒸着フィルムはガスバリア材として使用されていますが、透明性が得られず、シリカ(SiOx)やアルミナ(Al203) をコートしたフィルムが非塩素系で透明なため、ガスバリア性に優れ用途が拡大しています。
SiOxをコートする一般的な方法は、アルミ蒸着と同様の「PVD(物理蒸着)法」ですが、PVDの真空蒸着法では、フレーク状のー酸化ケイ素(SiO)を抵抗加熱や電子線(EB)照射などによって加熱、昇華させてPETフィルムなどの基材フィルム上にSiO1.5~1.7の形で蒸着されます。
このPVD法によるSiOxコートフィルムの酸素ガス透過度は、約2cc/平方m・24hrで、水蒸気透過度は、2~3g/平方m・24hrです。PVD法の難点として、SiOxのxの値を真空度などの蒸着条件を制御して1.5に近づけるとバリア性や耐熱水性が向上しますが、褐色に着色されることが知られています。
SiOxをコートする方法としては、PVD法以外に「CVD(化学蒸着)法」があり、二酸化ケイ素(SiO2) に近い緻密なコーティングが得られ、CVD法によるコートフィルムは、バリア性が良好で、クラックが発生しにくく、かつ蒸着したフィルムに着色がないという長所がありますが、蒸着速度がPVD法に比べて遅いという面があり、シリカ蒸着の原料は高価なSiOが用いられます。
一方、安価なSiO2を原料とした場合、真空蒸着法ではバリア性が発現しないことが知られています。これは蒸着時の雰囲気の水分に起因する水素原子によりSiにOH結合が導入され、ポーラスな膜が形成されるためと考えられています。
ところが、原料のSi02にAl203を添加していくと、薄膜の比重が原料のバルクの値に近づき、バリア性が向上することが確認されています。
屈曲によるバリア性の低下は、シリカ蒸着品に比べて小さく、種々の透明蒸着フィルムは、酸素バリアパウチ包装や防湿パウチ包装、あるいは成形容器の蓋材、ラミネートチューブや紙容器などのバリア材に適用されています。
さらに、レトルトカレーに使用していたパウチは、最近透明蒸着PET/ONY/CPP構成が適用され、電子レンジでの加熱が可能で、電子レンジ加熱時の自動蒸気抜き機構が適用されています。