多層フィルムによる包装は、袋(パウチ)状形態が多いため、ヒートシール層(シーラント)が必須となります。パウチは、“印刷基材”、“印刷基材兼ガスバリア材”、“ガスバリア材”、“補強材”、“シーラント”との組み合わせによる各種の基本構成のバリエーションが考えられます。
印刷基材としては、ONYやPVDCコート(Kコート)されたPETやOPPなどがあります。ガスバリア材は、EVOH、PVDC、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、透明蒸着フィルム、ナノコンポジットバリアコートフィルムなどがあり、印刷基材兼ガスバリア材は、ONYやPVDCコートされたPETやOPPが挙げられます。シーラントには、ヒートシール性が良好なLDPE、線状低密度PE(LLDPE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)などが使用されています。
更に、耐熱性が要求される場合には、無延伸PP(CPP)が使用されます。補強材には、一般的にPETやONYがあります。レトルト食品用袋には、カレーなどの加工食品をパウチ内に充填して密封シールし、そのうえで100~150℃の温度の高温高圧下で殺菌が行われています。
レトルトパウチは“アルミ箔を含むもの”と“透明タイプのもの”の2つがあり、殺菌温度の違いにより使用される材料も異なってきます。145℃で殺菌すると、パウチ内面のCPPが互いに粘着するという“ブロッキング現象”が発生する場合があります。
このため、結晶化度を上げたフィルムが使用されています。またアルミ箔タイプのレトルトパウチは、そのままでは電子レンジ加熱ができず、電子レンジ対応用として、透明蒸着PET/ONY /CPP構成のレトルトパウチも開発されています。このタイプのレトルトパウチには、電子レンジ加熱時の自動蒸気抜き機構が適用されています。